EMBA課題図書その1 – Thinking, Fast and Slow

先日、EMBAの事前課題について記載しましたが、その中でEMBAの課題図書については別途、と記載していましたので、この記事で紹介します。

以下が、EMBA課題図書リストの抜粋です。著作権の関係があるので、内容自体をアップロードすることが出来ないので、リストのみ記載させて頂きます。

Module 1 Pre-Reading

・Thinking, Fast and Slow – Daniel Kahneman
・Gans, Murray, and Stern (2014), ‘Entrepreneurs need stategy’, Working Paper.
・Blank, S. (2013) ‘Why the Lean Start-Up Changes Everything’, Harvard Business Review, 91(5): 63-72
・Howard, P. J. & Howard J. M. (1995), ‘Buddy, Can You Paradigm?’ Training & Development, Vol.49(9), pp.28-34
・Toegel, G. & Barsoux, J-L. (2012), ‘How to Become a Better Leader’, MIT Sloan Management Review, Vol.53(3), pp.51-60
・Analytics pre-arrival preparation workbook.

このうち、一番上の課題図書のみが、書籍でありAmazonでも販売されているので、今でも入手可能です。

有名な書籍であり和訳も出ているようなので(恥ずかしながら、私はこの課題図書で初めて著者と著作について知りましたが、、)、少し見てみたいという方は、本屋で手に取って見てみるのも良いかもしれません。

内容については、行動経済学に関する、様々な実験やそこから得た結論など長年の研究結果が、惜しみなく記載されており、非常に読み応えのある内容になっています。いかに、人が簡単にバイアスにかかり易いか、というのが様々な実験から判明する形になっています。一つだけ研究について紹介すると、痛みについての観察で、短期間だが痛みの強い場合と、痛みの持続期間は前者より長いが、痛みは少し和らぐ場合、どちらが患者にとって悪印象に残るか、というものがありました。この観察結果について、Peak-end rule とDuration neglectという考え方を用いて、前者の方が、患者にとって悪印象として残ることが説明されています。私の予想と真反対の結果だったので、印象的な内容でした。

著者の言葉で、一番心に残ったのは、本書の最後にそのようなバイアスにかからないようにするにはどうしたら良いか、という問いに対して、カテゴリに区分して各バイアスの内容を知っているのが重要、という記述があり、なるほど、と。この説明として、医療の病気名を例として挙げており、病に名前を付けることによって、この病気はこういう症状、というのが区別でき対処が出来るのと同じように、バイアスも種類と名前を覚えておくことで、対処が出来る、ということでした。

非常にボリュームが多く、かつ最初は抽象的な概念の説明があり、なかなか取っつきづらい書籍ではあるのですが、第2部辺りから、具体的な実験の話などが増えてきて、少し理解しやすくなるかと思います。また、最後にAppendixとして付録がA, Bとして含まれているのですが、こちら原書では本文よりもさらに文字が細かく、大部分の方が読み飛ばしていると思いますが、各バイアスについて、非常に簡潔に書かれているので、ぜひ購入されたかたは、最後のApendixも読んでみることをお勧めします。

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