Oxford Executive MBA 授業- module8 その2

module8は長くなってしまったので、後半はAccountingのPart2から。教授は引き続きAmir Amel-Zadeh。内容としてはmodule7からの各論の続きを。具体的には、
Session 5: Acquisitions, goodwill and intangibles
Session 6: Lease, Liabilities
Session 7: Pensions & taxes
Session 8: Measuring value creation
になります。

Session6ではリースと固定資産の減価償却を論点にしたデルタ vs シンガポールエアラインのケーススタディをディスカッションを。航空業界は、オペレーティングリースを採用してオンバランスしない、という理解だったのですがファイナンスリースを使用して、計上している航空会社もあるという点が個人的には少し意外でした。具体的には、残存価格や耐用年数もバラバラな中、なぜこのような違いが生じるのか、仮に両社同じ会計処理を採用するとBS及びPLに与える影響はどうなるか、で議論が進みました。各論の中では、Pensionがやはり難しかったようで、質問が非常に集中していました。退職給付は、勤務費用、利息費用、割引率など構成要素が多いため、その複雑さで混乱が生じていたようです。

3つ目の科目はBusiness Finance Part1でEthics and Governance と同じAlan D. Morrison が担当。両科目を同一の教授が担当というのはかなり珍しい組み合わせだと思うのですが、教授の元々の専攻はファイナンスのようです。授業の範囲は、正味現在価値法、IRR法、取替投資、Risk, Returnでしたが、特に正味現在価値法の説明で触れられた、Real Optionというのが初めて聞く概念でした。これは、プロジェクト案を採用するか否かという判断を求められた際に、いったん見送って先延ばしにする、という選択肢があれば通常それがベストな選択肢になる、という考え方です。最初に聞いたときは、相当違和感があり教授にも質問してみたのですが、先送りにすることによって、未確定情報が確定情報に置き換わり、結果として無駄な費用を抑えることが出来る、というロジックのようです。

このロジックを聞いたあとでも腑に落ちない感じがするのですが、前提条件として、市場の需要など現時点での投資が必須、という状況ではないことがあるそうで、確かにその仮定を置けば、Real Optionも成り立つかもしれないと、少し考え方が変わりました。とは言え、市場の現時点での投資が必須か否か、という点については相当の恣意性が入るので、そこはCEOなど最終判断者の判断力が求められる、という事なのだと思います。

教科書としてはBerk, J. & DeMarzo, P. (2017) Corporate Finance, 4th Global edition, Harlow: Pearson.が配布されましたが、今のところ一度も使用されず。この教科書は欧米のMBAで良く使用されているテキストのようで、日本語訳も出ており原文も非常に読みやいのですが、ボリュームが極めて多いので、分からない部分などを調べる際に解説書代わりに使用するのがいいかと思います。

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