リスキリングの観点からのEMBAについて

今回はリスキリングの観点からのEMBAというテーマでブログを記載してみようと思います。意外とこのテーマの記事がなかったため、少しでも参考になれば幸いです。

1. リスキリングとは?

リスキリングとは、経済産業省のHPによると以下の定義になっています。

新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること

近年はデジタル化と関連付けて、データサイエンティストやAIなどのスキルがリスキリングとして取り上げられることが多いですが上記の定義を鑑みると、必ずしもデータサイエンティストやAIなどに限らずもう少し概念としては広いという事が分かります。

2. EMBAとは?

一方、EMBAとはOxfordのHP
Oxford Executive MBA | Saïd Business School
によると以下のように記載がされています。

Offering unparalleled educational excellence, it blends cutting-edge research, innovative industry practices and a dynamic global network to drive transformative change

つまり、最先端の研究と革新的な業界の実務とのブレンドによる卓越した教育の提供と記載しています。EMBAは通常修士の学位に該当し、アカデミックな側面もあるのでビジネススキルの提供に特化したものではありません。

3. リスキリングの観点からのEMBAの有用性

上記までで、リスキリングとEMBAについて見てきましたが結論から述べると、私自身はリスキリングの観点からのEMBAは有用性があると考えています。確かに、リスキリングの中核は最初に述べたようなデータサイエンティストや生成型AIなどの、直接仕事に関連するスキルを指すと思います。しかしながら、EMBAによる最新の研究や最先端のビジネスのプラクティスの中には当然、デジタル領域やAIなども内容には含まれます。

EMBAにおけるデジタル領域の勉強は、データサイエンティストなどのスキル自体を学ぶわけではなくAIの仕組みや業務への適用といった、もう少しハイレベルな観点の知識になります。そのため管理職に対する「必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得」に該当するものと考えられるため、有用性はあるものと考えました。

4. 今後のEMBAの展望について

今後のEMBAの展望については、非常に明るいと考えています。欧米諸国ではもともと社会人が大学や大学院に入学するといったケースが、比較的多くありました。一方、日本では社会人になってからの教育という点では充実しているとは言い難い状況でした。

しかしながら、政府もリスキリング対策に投資を行う事を決定して国全体で社会人に対する教育に力を入れていくという方針を明確に打ち出しています。これは、少子化という深刻な労働力不足という社会問題を抱えているなかで、既存の労働人口でどのように対応していくかというと、教育 = リスキリングで対応するしか方策がないという事になります。

このような追い風のなかで、EMBAも上記に述べたとおりリスキリングに大きく寄与できると考えているのでぜひ志願者の増加に繋がれば良いなと思っています。この追い風を活かすにはビジネススクールごとの啓蒙活動のみではなく、国内EMBAの業界団体としてEMBAがリスキリングに繋がるという事を強く打ち出していくロビー活動的な活動も必要なのではないかと考えます。

逆にこのような追い風の状況を活かせずEMBAの市場が伸びないという事になると、今後は国内のEMBA業界は苦境に立たされることになると予想されるので、非常に重要な時期に差し掛かっているのは間違いないと言えます。