前回、ブランド価値ランキングについて述べたので、今回も同じテーマのブランド業界について取り上げます。日本では、コロナの影響は飲食業、航空業界が良く取り上げられていますが、同じく最も大きな影響を受けているのが、高級ブランド業界になります。そもそも、ブランド業界は中国への依存が非常に強くなっていたのですが、12-1月にはご存知のように武漢から中国全土にコロナウィルスの影響が広がりました。
この段階では、日本ではむしろ中国からの旅行者などがおり、売上に対するインパクトはあまりありませんでした。恐らく、各ブランド、2月下旬くらいから影響が出始め、4月は緊急事態宣言もあり、百貨店、直営店がクローズして、ほとんど売上がない状況と予想します。
残念ながら、リーマンショック、東日本大震災の時と比較しても、圧倒的に今回の方が落ち込みが激しい状況です。特に、高級ブランドの中でも、イタリアブランドについては、イタリア本国もロックダウンしており、供給側と需要側ともに壊滅している状況なので、影響が甚大になっています。
とはいえ、励まされるニュースもあります。LVMHやゼニア、ヒューゴボスなどは防護服を作成したり、他のブランドも寄付やマスク、消毒薬の製造などを行っております。
各ブランド、この苦境のなかどのように社会に貢献できるか、を考えて迅速に実行している姿が、非常に頼もしいですし、この業界で働いていてよかった、と新ためて思いました。
最後に、今後の業界の展望について、少しだけ私見を述べさせていただくと、、、残念ながら、すぐには元の水準に売上が戻ることは難しいと思うので、体力のあるブランドが生き残り、体力のないブランドは買収される、or 廃業に追い込まれるブランドも出てくると思います。
さらに、E-commerce が改めて見直され、ほぼ間違いなく、各ブランドさらにこの分野へ投資をしていく流れになると思います。
そして、3つ目として、この方向を予測している記事は海外も含めて私はまだ目にしていないのですが、医療機関や政府に対してのビジネス機会拡大を予測しています。今回の大規模な防護服の製造・寄付などで、裁縫技術の高さやブランドの認知度が高まり、国や医療機関などが今後、備蓄用に買い上げ、といった流れが出てくるのでは?と想像しています。
いまは、ブランド業界全体が非常に苦境に立たされていますが、何とかこの苦難を乗り越えて、市場全体としても回復することを、強く願っています。