Oxford Executive MBA 授業- module5

Module 5はFirms & Market Part2 (マクロ経済) とStrategy Part1 (戦略論) の2科目。StrategyはProf Thomas Powellで、メインテキストとしてはGrant (2016), Contemporary Strategy Analysisが使用されるとのアナウンスが事前にあったので、それを中心に準備をして参加。このテキスト自体は戦略論の基本書として有名なので、版は古いですが日本語訳も出版されています。会計士の試験時代に経営学のテキストにも掲載されていた、差別化戦略や集中戦略などについても説明されており(このコンセプト自体はグラントの説ではなくポーターになりますが)、日本語・英語ともに比較的平易に書かれており、テキストを読むだけでも基本的なコンセプトはある程度理解できると思います。
そして授業の前半Part1の範囲としては、

  • Session 1         The Strategy Concept
  • Session 2         Competitive Advantage
  • Session 3         Strategy as Innovation
  • Session 4         Strategy as Diligence

の4章となっており、内容としては全てCompetitive Strategy(競争戦略)になります。

Prof Thomas Powell、まさかの一度も教科書を開かずに4章が終わってしまいました。彼の戦略論の授業のアプローチは少し変わっており、授業中にケースを配りそれをしっかりグループでディスカッションしたあとでクラス全体でのディスカッションを行い、その中でSessionの内容も併せて解説していくというスタイルでした。Session 1では戦略を説明するために、1パラグラフのシナリオと&地図を配布され、自軍をどこに配置するかを、具体的な理由とともに述べる、というものでグループに分かれてディスカッションを。シナリオが1パラグラフしかないため、あきらかに条件の説明が足りていないため、その不足分については仮定を置いて考える必要があるのですが、その仮定についても、併せて発表することに。

条件の曖昧さもテーマの一つだったのですが、それを考慮しても自軍を展開する場所としては普通に考えれば2か所くらいしかなく、どのチームもその2か所に集約されると思ったのですが、仮定の置きかたで予想外に多くの回答が。ちなみに、私たちのチームには、元軍隊出身の方がいて、非常にロジカルに自軍の配置を決定し、ディスカッションにもあまりならずわずか10分で終了してしまいました。このケースをとおして、戦略とは一つではないこと、情報が完全なことは通常なく仮定が必要になること、について学びました。

さらにケースのあとには、競争優位についての説明があり、 具体的には1. 競争的ポジショニング–低コスト戦略か差別化戦略の選択 – 2. リソースベース理論–独創性のある資源と能力の構築のため内部をみつめること– 3. イノベーション理論 – 新市場の形成のための能力構築 / 競争を忘れ顧客重視へ –。

つづいて、Zowieという架空の商品のケーススタディを使用して。通常ケーススタディの場合はハーバードのものを利用することが多いのですが、講義内容と完全に一致するケースが見つけられず使いにくいので、教授自ら講義内容に一致する架空のケーススタディを作成したとのこと。ケース自体はZowieという商品を開発して企業として成功したものの、その背後には様々な問題がある中でCEOが亡くなり新CEO着任というところまでが(A)、その後、新CEOのもとでさらに企業は成長を続けるが、近年は成長率が伸び悩み、というところまでが(B)として配布。前半の(A)では成長の裏に様々な問題があるのですが、新CEOはどうするべきか、というのが一つ目の課題。そして(B)では成長のスピードが落ちているなかで、どのような戦略を取るべきか、という点が各チームで議論されることに。この2つの架空の製品を取り上げたケーススタディが、短いながらも問題点等が詰め込まれており、密度の濃いケースになっていました。

最後は、InnovationについてValveというゲーム会社のEmployee Handbookを使用し、グループ及びクラスディスカッションを実施。この会社のハンドブックがそのまま授業に使用されるほど、かなり特徴的なハンドブックになっています。何よりも特徴的なのが、上司がおらず完全にフラット組織であること、同僚レヴューの制度を徹底して評価も同じくピアレヴューになっている点、そしてチーム内で3人の支持が得られたらプロジェクトが始められるという、”The rule of the three”の制度の3つになります。この制度、Valveでは成功していたのですが、今後規模が拡大してもこのシステムを続けられるのか、これはInnovation なのか、また他の業種にも無条件に適用出来るのか、出来ないのであれば条件は?といった点を中心に討論。

授業のまとめとして、競争優位だけでは十分ではなく、 1. 基礎となる事項についての再認識認 2. 執行段階もBad Executionを実施しない 3. 勤勉さ- 素晴らしいパフォーマンスを達成するためにすべきことは、自分自身を素晴らしく見せることではないといった点も併せて必要になる点が強調されて、Part1は終了。

今回学んだ戦略論について、KeringというLuxury companyで少し考えてみました。Keringはコングロマリットであり、グループとしては、コストリーダーシップではなく差別化戦略を採用。ブランド業界自体、そもそも低価格で勝負をしていないので、基本的にはほぼ差別化戦略に該当する。Innovationについては、技術革新の激しいIT業界や製品ライフサイクルの早い製造業などが、主には対象になるが、Luxury Industryとしては、そもそも製品に関連した技術Innovationがあまり期待されていないことから、少なくとも今後5年以内に技術革新が原因で業界の勢力図が一変するという状況はあまり考えにくい。

以下、必須課題図書。他にも任意課題図書がこの2倍くらいあります。

・Grant (2016), Contemporary Strategy Analysis (9th edition)
・Collis, D. and Rukstad, M. 2008. Can you say what your strategy is?, Harvard Business Review, 86(4): 82-90.
・Heimans, J. and Timms, H. 2014. Understanding “new power”, Harvard Business Review, 92(12): 48-56.
・Barney, J. 1995. Looking inside for competitive advantage, Academy of Management Executive, 9(4): 49-61.
・Porter, M.E. 2002. The importance of being strategic, Balanced Scorecard Report 4, no.2: 9-11. Schoemaker, P. and Krupp, S. 2015. The anticipatory leader: How to see sooner and scan wider, Rotman Magazine, Spring: 37-41.
・Neumeier, M. 2015. The rules of genius: An innovator’s guide to creativity, Rotman Magazine Spring: 79-83.
・Kim, W.C. and Mauborgne, R. 2004. Value innovation: The strategic logic of high growth, Harvard Business Review, 75(1):
・Bhide, A. 1986. Hustle as strategy, Harvard Business Review, 64(5): 59-65.
・Frery, F., Lecocq, X. and Warnier, V. 2015. Competing with ordinary resources, MIT Sloan Management Review, 56(3): 69-77.
・Powell, T.C. 2006. Unlock the deep structure of competitive performance, Strategy, 9: 9-14.

Firms & Market Part2はPart1のMungoに代わり、Prof. Ken Okamuraとインドモジュールに続いて2人目の日本人教授でした。事前課題の図書としては、Miles, D., Scott, A. and Breedon, F. (2012) Macroeconomics: understanding the global economyが配布されたのですが、このテキストのほぼ全範囲が対象。マクロ経済学は自信がなかったので、これとは別に自習用としてマンキューマクロ経済学をひととおり読んだ上で授業に臨みました。授業の内容は、

Session 7: Macroeconomic data
Session 8: Growth and productivity
Session 9: Globalization
Session 10: Money and debt
Session 11: Financial crisis
Session 12: FX Markets

となっており、切り口がテキストと結構異なりSlideも同様なので、体系的に理解するのにはなかなか時間がかかりそうな予感が。ちなみに、この授業は途中にケースステディやExerciseが一切ない100% レクチャー方式で進行。ただ、マクロ経済はもともとの内容自体が非常にあいまいであり、分かりにくいので生徒の中には混乱する者が多数おり、若干カオスな様相を呈していました(過去のmoduleの中で最も混乱の大きかった授業です)。

Firms & Market の課題は小問10個で、うち5つがマクロ、5つがミクロからの出題。全体としては、前半で国の分析を、後半で業界の分析を、という問題であり問題としては非常に面白かったですが、特に前半のマクロのデータを探してくるところが最も時間を要し、当初7日間で仕上げる予定が10日以上かかり、module 6の予習にも大きく影響を与えました。。が、こちらも無事に期限内に提出できたので、あとは結果待ちになります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です