10年やってみて、変わったことと、変わらなかったこと

Next Stage Oxfordは、2016年のサービス開始から10年を迎えました。

節目に何か書こうと思ったのですが、自分の話ばかりしても仕方がないので、この10年で受験生を取り巻く環境がどう変わったか、そして何が変わらなかったかを整理してみます。

なぜ始めたのか

もともと、自分自身が働きながらOxfordのExecutive MBA課程に出願した経験が出発点でした。

当時、EMBAの出願情報は驚くほど少なく、MBA向けの情報はそれなりにあるのに、30代後半から40代の、仕事も家庭も抱えた人間が、どう準備を組み立てればいいのかを書いたものがほとんどありませんでした。大手予備校に相談しても、EMBA特有の選考プロセスを実体験として知っている人はいませんでした。

結局、手探りで進めるしかなかった。そのときに感じた不便さが、そのままサービスの設計思想になっています。合格した本人が、最初から最後まで直接担当する。それだけです。

変わったこと(1)受験生の準備レベルが上がった

10年前と比べて、いちばん変わったのはここです。

たとえばCV。2年ほど前にブログで「CVの重要性」について書いたのですが、当時は「CVは職務経歴書を英訳すればいい」と考えている方が相当数いらっしゃいました。いまは違います。CVが出願書類のなかで重要な位置を占めることは、ほとんどの受験生が理解しています。

情報が行き渡ったぶん、準備しているかどうかでは差がつかなくなりました。差がつくのは、その先です。

変わったこと(2)生成AIが出願準備に入ってきた

ここ2年ほどで最も大きい変化です。

エッセイの下書きをAIに作らせる。CVの英語表現をAIに直させる。もはや珍しいことではありません。私自身、これを否定する立場ではありません。むしろ、使ったほうがいい場面は確実にあります(この点は「2026年生成AI時代の出願戦略」で詳しく書きました)。

ただ、実際に多くの原稿を見ていて、はっきりした傾向があります。AIが書いた文章は、驚くほど似通う。そして読み手の記憶に残らない。

論理は通っている。文法も正しい。読みやすい。それなのに、10通読んでも誰の顔も浮かんでこない。アドミッションが年に何千通と読むことを考えると、これは相当に不利です。

なぜそうなるかというと、AIは「MBA出願エッセイとして正しい形」を出力するからです。しかし選考で問われているのは、正しさではなく、その人が何を持ち込むのかという固有性のほうです。

もう少しイメージしやすく説明をすると、通知表で5が最高評価とした場合にall 3みたいなイメージです。どこも大きな失点はないが、飛び抜けている点もない、といった没個性的なエッセイやCVになってしまいます。

変わらなかったこと

一方で、10年間まったく変わっていないことがあります。

自分のキャリアの価値は、自分がいちばん分かっていない。

これは今まで受講生を見てきた肌感覚でいうと、だいたい8-9割は正しく把握できていません。面談で職歴を伺っていると、ご本人が「特に書くことがない」と言った部分に、いちばん強いアチーブメントが埋まっていることが頻繁にあります。ご本人にとっては日常業務なので、価値だと認識できていないだけです。

逆に、ご本人が推したがるエピソードが、実は評価軸から外れているというケースもよくあります。

つまり出願準備の本質は、新しく何かを作ることではなく、既にあるものを正しく評価し直す作業です。そしてこれは、一人ではやりにくい。AIにもやりにくい。自分の経歴を「他人の目」で見る工程が、どうしても必要になります。

そして、この「他人の目」も、もちろん誰でも良いという訳ではなく、適切に経験やアチーブメントの価値を判断できる「他人の目」ということになります。価値を判断できない方が、仮にレヴューすると、素晴らしい原体験のエピソードも紙屑のようになってしまうため、非常に重要な点になります。

10年やってきて、自分の仕事の中身は結局ここに集約されるのだと思っています。

10周年として、ひとつご案内

この10年で私が蓄積してきたのが、まさにその「他人の目」——出願書類がどの軸で評価されるかという判断の枠組みです。普段は受講生に対して、初回の分析としてお出ししているものです。

10周年の御礼として、これを先着10名様に無料で提供させて頂くことにしました。

英文CVをご提出いただくと、現在地をスコアで可視化し、不足している要素と、まだ言語化できていない強みを切り分けてお返しします。Diagnostic Sheet(診断書)と Snapshot(1枚のビジュアルサマリー)の2点をPDFでお届けします。

受付は2026年9月30日まで、定員に達し次第終了とさせていただきます。

創業10周年記念|英文CV 出願診断 無料開放

最後に

10年続けられたのは、受講生の皆さまがそれぞれのNext Stageへ進まれる、羽ばたいていくいく姿に私自身も非常に強く刺激を受けたためです。合格のご連絡をいただく瞬間は、10年経ってもやはり嬉しいものですし、私自身も創業時の想いを忘れずに、これからも邁進していきたいと思います。

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